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2010年10月

2010年10月 4日 (月)

2010年 10月 41 「ヴァイブレーター」

新・身も心も 41 
『ヴァイブレータ』 2003年
稲葉 芳明
 
8月の記録的酷暑にも負ケズ、芝居・映画観劇で東京に出向きました。ブロードウェイ・ミュージカル来日公演『イン・ザ・ハイツ』(東京国際フォーラムC、8月20日)、井上ひさし追悼公演『黙阿彌オペラ』(紀伊國屋サザンシアター、8月21日)、トム・ストッパード原作、栗山民也演出『ロックンロール』(世田谷パブリックシアター、8月22日)――この中ではやはり、『黙阿彌オペラ』が一頭地を抜いていました。映画は『セラフィーヌの庭』(岩波ホール)、『カラフル』(みゆき座)、『瞳の奥の秘密』(シャンテ2)の3本を観て、いずれもベストテン級の秀作。

さて、全国同時公開された話題作『キャタピラー』に関しては、物語構造(脚本)に少し異論を抱きました。戦争によって夫婦がどう変容するかをミクロ的に凝視することと、戦争総体をマクロ的に批判する方法論が齟齬をきたしていないか。軍神に祭り上げられた夫が、終盤良心の呵責に苛まれる過程は少し唐突過ぎないか――この二点です。されど、傷痍軍人の妻を演じる寺島しのぶの存在が圧倒的で、そういう欠点も吹き飛んでしまいました。

寺島しのぶに初めて注目したのは、西田敏行の芸達者振りが楽しめた『ゲロッパ!』。中盤、西田と遣り取りする女性タクシー運転手に扮し、脇役ながらその上手さで光っていました。
彼女の初主演作『赤目四十八瀧心中未遂』は03年11月にポレポレ東中野で観て、平成の世とはとても思えぬ、時間が止まってしまった異空間にすっかり魅了されました。とにかく寺島しのぶが圧倒的に素晴らしく、その存在感といい強烈なオーラといい、この人が真正のそれも類稀なる「女優」であることを証明していましたが、彼女のもう一本の主演作『ヴァイブレータ』はそれにも勝る出来栄えでした。

*            *

食べ吐き食べ吐きを繰り返すアルコール依存症のヒロインが、ふとしたことで知り合った長距離トラック運転手と「旅は道連れ、世は情け」と、東京・新潟間往復の道中を共にする。たったそれだけの話ですが、見ている間中ずっと、ぼくはヒロインの心理に自然と共振(vibrate)しました。どこかでこれと似た体験をしたなあと考えていて、フト、60年代後半に登場したアメリカン・ニューシネマの感触に近いことを想起しました。

都会の中で孤独と閉塞感に潰されそうになった主人公が、袖触れ合った赤の他人と一緒に旅に出る。道中、様々な風景や人や出来事と遭遇していくうちに、主人公は新たな自分を見出す。それをドキュメンタリー・タッチの演出で追い、ここぞという絶妙のタイミングで音楽が流れてくる。この映画のそんな感触が、何故かぼくにはジョン・シュレシンジャー監督『真夜中のカーボーイ』を連想させたのです(ジョン・ヴォイトとダスティン・ホフマンのコンビが絶妙で、とりわけホフマンの素晴らしさといったら!)。都会の喧騒とは遠く離れた地方の片田舎に住む自分に、都会暮しの寂寥感など分かろう筈も無いのに、壊れかけたヒロインの索漠とした心理に素直に共鳴する。これは、寺島しのぶ~共演大盛南朋~脚本荒井晴彦~演出廣木隆一の優れたコラボレーションの賜物です。

冒頭と同じコンビニの場面で映画が閉じる時、「男を食って 男に食われた」ヒロインは、少し変わります。その変化が、胸に染み入ります。押し付けがましい、安っぽい感動を押し売りしていないからこそ、観客の心と共振(vibrate)します。寺島しのぶにとって大森南朋がvibratorだったように、観客にとっては寺島しのぶが息づいているこの映画こそがvibratorだったのです。

2010年 10月 ~旅先の映画館~

旅先の映画館
FLOWERS ―フラワーズ― 命のバトン
かずじ・やまうち

チェックインをしようとフロントのある階でエレベータが開いた時、私は小さく叫んでしまった。「あちゃー、こりゃあ時間がかかる。」と。フロントは、一歩先に到着した外国人の団体客でいっぱいだったのだ。

その日、急な出張となった私は、乗ってきた高速バスを降り、夕暮れ迫る道路を横切って、そのホテルに入ったのだ。泊まりの出張で相手先との食事の予定がない時、私はたいてい一人で近くの居酒屋に立ち寄る。生ビールで一杯、地元の旨いものを食べるのである。太平洋側のこの町は、イワシやサンマの刺身が美味しく、この味は北陸では最近まで味わえなかった。その日も、そんなつもりで、早くチェックインを済ませて・・・と思っていたのだ。

言葉の壁があるのかフロントは手間取っている。待つ間にロビーを見て歩いた。いつもは、チェックインとチェックアウトで素通りしてしまうロビーだが、改めてみると、フロント横の壁に、絢爛な色彩を使った妖艶な女性の姿がデザインされていた。どこかで見たことのある絵だ。・・ああ、グスタフ・クリムト。確かオーストリアの画家。以前、通っていた絵画教室で、Sさんが「これがいいのよ」と言って見せてくれた本があった。

ソファーの横のマガジンラックに、地元のイベント案内や近隣の名所案内があり、手持無沙汰のついでに一つひとつ手に取って見た。一通り目を通して、フロントに目をやるが、まだ、終わりそうにない。こんどは、別館への通路のある側へ。すると、新聞や雑誌に混じり、一枚のA4版のチラシに目が止まった。それは、ホテル近くのショッピングセンター併設のシネコンの上映スケジュールであった。今晩、映画も悪くないな。「アイアンマン2」と「セックス・アンド・ザ・シティ2」は好みじゃないし、「プリンス・オブ・ペルシャ~時間の砂~」は福井で観た。観るのならの「FLOWERS ―フラワーズ―」(企画・製作総指揮 大貫卓也、監督 小泉徳宏)だ。福井の新聞でも紹介され、映画の中に越前市の箪笥が出てくるという。この越前箪笥は、スタッフが昭和初期の暮らしの再現のため探し当てたもので、この映画のために越前市タンス町通りの五軒が協力し、桐箪笥や長持、行李、鏡台などが貸し出されたという。

さて、料金は大人一人一八〇〇円。うーん、ちょっと・・・ここでは福井映画サークルの「会員特別優待券」は効かないし・・・と、半分あきらめかかったその時、一二〇〇円のレイトショーに気づいた。福井では、深夜の徘徊は家族からうとまれ、これまでレイトショーに行く機会はなかった。
ようやく空いたフロントで、チェックインを済ますと、スーパーに寄って寿司と缶ビールを買い、腹ごしらえ。映画館に向かった。ホールは六つあり、回廊をめぐるように一番奥へ。客は、カップルも含め、数人というところだ。

映画は、化粧品会社が特別協賛とあり、同社のブランドシャンプーTのCMに登場した女優六人がそれぞれ勢ぞろい。いずれも主演ができる豪華な面々だ。
昭和初期、親同士が決めた結婚にのぞむ凜(蒼井優)は、顔も知らない相手との結婚に戸惑い、式の当日、花嫁衣装のまま家を飛び出してしまう。追いかけてなだめる母。
昭和三十年代、凜の産んだ娘たちがそれぞれの人生を歩んでいた。長女の薫(竹内結子)は最愛の夫と死別し、思い出の中に生きる。次女の翠(田中麗奈)は、つきあっている相手からの突然のプロポーズに悩み、姉に相談する。時は経ち、三女彗(さと)(仲間由紀恵)は、二人目の子供を授かったが、医師から出産は難しいと宣告される。しかし、彼女は自分の命をかけてもこの子を産もうと決意する。

平成の現代、彗の長女、奏(かな)(鈴木京香)は、あこがれていたピアニストにはなれず、新人ピアニストの横で譜面をめくる日々、恋人とも別れることに・・そして妊娠に気づく。彗の命と引き換えに産まれた次女桂(けい)(広末涼子)は、平凡に家庭の主婦となり、かわいい男の子に恵まれ幸せな日々を送っている。

昭和初期から平成の現代へ、それぞれ、人生の場面でひたむきに生きる女性たち。懐かしく、また、いとおしいものを感じた。私の祖母や母もまた、結婚を決める時、きっと同じような葛藤を感じたのだろう、でも、それを乗り越え、強くたくましく生き、私へと命のバトンをつないでくれた。映画は、今の自分の存在の重さを改めて気づかせてくれた。

「わかるよ その気持ち・・・・わたしも通ってきたから 同じとこで つまずいて 泣いたから・・」主題歌「ねぇ」を歌うドリームズ・カム・トゥルーの吉田美和の声が心にしみた。
新聞で読んだ越前市の箪笥は、凜の花嫁行列に登場し、しずしずと歩む行列に、旧(ふる)き良き日本を見た。また、凜の嫁ぎ先の最寄りの駅は「西花堂」で、越前箪笥とともに旧き良き日本のモチーフとなっており、福井人である私は、感慨ひとしおであった。

映画「チャドンマニ」上映会

映画「チャドンマニ上映会」
~モンゴルホーミーの源流へ~

とき:10月17日(日)

時間:①12:30~ ②15:50~ ③18:00~

監督トークショー:14:25~

前売り:1,000円
当日一般:1,300円
シニア:1,000円
高校生以下:500円


~自分の本来の生きる道は、生きる場所は~

そんなことを考えさせられるドラマである。
舞台は、金や銅、ウランなどの豊富な地下資源が世界から注目を集めているモンゴル。
首都ウランバートルには、遊牧生活を捨てて国全体の三分の一が集まってきていると言う。

ホーミーの発祥の地・チャンドマニ村から、元・遊牧民のザーヤもウランバートルに仕事を求めに来ていた。いつまでたってもいい仕事に就くことができず、アパートの屋上で故郷に続く空を眺めながら、ホーミーを歌うことが彼の唯一の慰めであった。ザーヤは幼なじみの友達がウランバートルの北の地で遊牧をしていることを知り、訪ね、ホーミーを唄い、語り合い遊牧の仕事を手伝う。そこで、あらためて遊牧民であることを感じ、故郷に戻ることを決心する。

一方、ウランバートルにある民族芸能の劇場の人気スター・ダワーレスレンと言う青年は、ふとしたきっかけで、ホーミー発祥地チャンドマニ村へ行ってみたい衝動にかられる。正月の時期で飛行機は満席。長距離バスに乗ると、そこにザーヤがいた。すし詰め状態での2泊3日の走りっぱなしの旅になる。最後の、運転手のつぶやき「ホーミーってのは、風が体の中を通って、口から出る音なんだなあ。」が心に残る。試聴はDVDでしたので、是非大きな画面で良い音響で見直したいと思いました
(M.S)