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2013年3月28日 (木)

映画を浴びて 2013年4月

解析「東京家族」&私の「東京物語」 

 その日、見たいと思っていた映画「東京家族」が公開から一ヶ月を過ぎようとしていた。というのも1月末から2月にかけ親戚の法事や趣味の会合が重なり、見に行く時間がとれなかったからだ。午後から福井映画サークルの会合がある2月17日の朝、ようやくその願いがかなった。

「東京家族」は、山田洋次監督が敬愛する小津安二郎監督の名作「東京物語」をモチーフに現代風にアレンジした映画で、大筋のストーリーは変わらないが、時代背景から登場人物の一部が変更、集約されている。

 瀬戸内海を臨む田舎から出てきた老夫婦が、都会に住み家庭を築いている子供たちを訪ねて歩く旅の中で、親の思いと子の思いのずれを描いている。このテーマは国や時代が変わっても理解できる普遍的なものである。

 あらためて、二つの作品を比べてみよう。モチーフとなった小津監督の「東京物語」は1953年を舞台に展開される。尾道に住む老夫婦平山周吉と、とみに5人の子供がいる設定だ。町医者となった長男幸一、美容師の長女志げ、戦争で亡くなった次男昌二の妻紀子が東京にいて、大阪に三男の敬三、尾道の実家にはまだ嫁に行かない次女京子が父母と住んでいる。

山田監督の「東京家族」は、2012年を舞台にし、ふるさとは瀬戸内海の小島として描かれ、母の名は、とみこ、父や長男、長女はそのままで、次男は昌次として生きて登場し、その彼女が紀子という設定になっていた。兄弟の数は、いまどきに合わせ、兄姉弟の3人である。
幸一が東京にやって来た父と母を連れ横浜見物に出かけようとした矢先、「東京物語」では急患で往診してほしいと玄関先に先生(幸一)を迎えにやってくる。また、「東京家族」では往診依頼は電話で掛かってくる。昭和の人と人の絆が、平成の今、便利さの中で冷めてしまったことを感じた。

また、どちらの作品も周吉は72歳、とみこ(とみ)は68歳の設定だが、「東京物語」の笠智衆と東山千栄子は老け込んだ様子で作成されていたのに対し、橋爪功と吉行和子演ずる二人はいまどきのアラセブン(アラウンド・セブンティ)として若い印象を受けた。

 また、「東京物語」の紀子(原節子)は肉付きがよくたくましいのに比べ、平成の紀子(蒼井優)は手足が細い。特に考慮したものかどうかわからないが、丈夫で働きものの女性像が、平和で豊かな時代の女性像に替えられていた。

 忙しさの中で自分たちでは父と母を見てやれないと考えた滋子(志げ)と幸一は、都会に住む者の感覚で、父と母を「温泉に招待」しようということになった。この温泉は熱海温泉の旅館から、横浜のリゾートホテルに替えられていた。都会の息子と娘が考える楽しみの価値観は、田舎から出てきた両親とは大きくズレていたようで、親たち二人は予定の宿泊を繰り上げ、東京の滋子(志げ)の美容室に戻ってくる。しかし、その日は商店街の飲み会があるとのことで、二人は追い出され、宿無しになってしまうのだった。

「東京家族」に直接表現はされていなかったが、「東京物語」の中の三男敬三が繰り返す「墓に布団は着せられぬ」が主題になっていたようだ。

我が家では、滋賀に住む長男が昨年春に結婚した。人なつっこい性格の息子だったが、結婚を期によそよそしくなり、私たち夫婦の言うことにいちいち反発するようになった。映画の世界はまだいい。もし、私たちが息子たちの住むマンションを訪ねていったとしても「近くのホテルに泊まったら」といわれるのがオチだ。

下の息子は息子で、名古屋に勤め、一人節約してお金をためていると思ったら、いきなり数百万のスポーツカーを買ったのだという。妻に保険のことを電話してきたことでわかった。なんでそんなもったいないことを・・。そんなドラ息子に育ててつもりはない。

私とて、例外ではない。福井を離れず父母と同居しているが、父親の望んだ同じ教師の道を選ばず、父の得意な音楽も、球技も、そして雪吊りで使う男結びさえ引き継がず、詩や文学の世界に遊び、こうして文章を書いている。

今、4月下旬にY温泉で、父の米寿と母の傘寿超えのお祝い会を計画している。長男としてせめてもの罪滅ぼしだ。これが父母の気持ちに沿うかどうか、私の「東京物語」は行ってみて答えを出すことにしよう。

(やまうち かずじ)

コメント

2つの映画の比較面白いですね。僕のようにそんなに映画を見ていないものにとって映画と映画の関係など教えていただけると両作品をみるきっかけとなりありがたい事です。

また、息子さんの事ですが、よそよそしくなった気持ちもわかりますが、部屋がちいさくて綺麗なホテルに泊まってもらいたいという気持ちもあるのだろうと思うと、僕も親戚や家族が泊まりに来た時に、もっと踏み込んでお互いの気持ちを交わし、気を使いすぎないようにする事が大事なのかなと「どきっ」としました。
やまうちさんの「東京物語」を次回楽しみにしています。happy01

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