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2013年11月

2013年11月23日 (土)

新・身も心も78『エターナル・サンシャイン』Eternal Sunshine of the Spotless Mind (2004)

  新・身も心も78『エターナル・サンシャイン』Eternal Sunshine of the Spotless Mind  (2004) 

 

 この10月~11月は優れた演奏会・舞台(芝居)が目白押しで、超充実の日々が過ごせました。

ぼくが足を運んだのは、ミュージカル『エニシング・ゴーズ』(帝国劇場)、野田秀樹作・演出『MIWA』(東京芸術劇場 PLAYHOUSE)、井上ひさし作・蜷川幸雄演出『ムサシ』(彩の国さいたま芸術劇場)、唐十郎作・蜷川幸雄演出『唐版 滝の白糸』(シアターコクーン)、ジョナサン・ノット指揮東京交響楽団「リヒャルト・シュトラウス:アルプス交響曲」(サントリーホール)、エリアフ・インバル指揮東京都交響楽団「マーラー:交響曲第6番《悲劇的》」(横浜みなとみらいホール)、井上ひさし作・鵜山仁演出『イーハトーボの劇列車』(紀伊国屋サザンシアター)――いずれも見応え十分の傑作・力作ばかりで大満足。

映画も、それに劣らぬ充実のラインナップでした。以下、鑑賞順に御紹介いたします。

 

10月11日 ロジャー・ミッチェル監督『私が愛した大統領』(TOHOシネマズシャンテ3)

 フランクリン・ルーズベルトの公務(裏側)と秘められた恋の両方を描きつつも、脚本が拡散してドラマが深まらないのが残念。ルーズベルトとジョージ6世(『英国王のスピーチ』の主人公)の交流は胸にしみました。

10月13日 ミシェル・ゴンドリー監督『ムード・インディゴ うたかたの日々《インターナショナル版》』(新宿バルト9) 後述

10月16日 三木孝浩監督『陽だまりの彼女』(テアトルサンク1)

 いつもならこういう作品はスルーするのですが、では何故観たかというと、主題歌が山下達郎の新曲で、挿入歌がThe Beach Boysだから。で、“ Wouldn’t It Be Nice”は3回流れ、3度目にBrian Wilsonの声が流れてきた時は落涙しました。

11月2日 フランソワ・オゾン監督『危険なプロット』(ヒューマントラストシネマ有楽町1)

〈現実〉を〈プロット〉がなぞり、次第に二つが倒錯し、最後は一線を乗り越えてしまうまでのプロセスを面白く見せます。ただ、教師と少年の〈関係〉が〈プロット〉程スリリングにならないのが不満。

11月03日 ダニー・ボイル監督『トランス』(新宿シネマカリテ2)

話を二転三転させ、全く先を読ませない見事なプロット。センスの良いシャープな画面造形。スタイリッシュで切れ味抜群の演出。三人の役者(ジェームズ・マカヴォイ、ヴァンサン・カッセル、ロザリオ・ドーソン)の個性。文字通り息もつかせぬ102分で、スリルとサスペンスということで言えば今年ピカイチ。さすがロンドン・オリンピック開会式演出家、御見事!

11月03日 ジョシュ・トランク監督『クロニクル』(新宿シネマカリテ1)

大友克洋『AKIRA』米国高校生版をPOV手法で撮った(ように見せかける)作品ですが、話のエスカレートぶりが実にスリリングで、ラストの〈対決〉は新スーパーマン(『マン・オブ・スティール』)より遥かに興奮。主人公の〈力〉が暴走してしまう要因がスクールカーストやDVに在る点も、話にリアリティを与えています。

11月03日 ミシェル・ゴンドリー監督『ムード・インディゴ うたかたの日々《ディレクターカット版》』(渋谷シネマライズ) 後述

11月04日 ロレーヌ・レヴィ監督『もうひとりの息子』(シネスイッチ銀座2)

設定は『そして父になる』と瓜二つ、されど、二つの家庭はテルアビブに住むユダヤ人夫婦とヨルダン川西岸に住むアラブ人夫婦ですから、取り違えられた子供(18歳の青年)にのしかかる現実の重みと過酷さは、想像を絶します。イスラエルとパレスチナの紛争を背景に捉えながら、青年二人と二組の夫婦の苦悩・葛藤を描きますが、リアルな演出の御蔭で最後に垣間見えてくる〈希望〉も非常に説得力があります。

11月08日 ブライアン・ヘルゲランド監督『42』(福井コロナシネマワールド3)

ジャッキー・ロビンソンはメジャー・リーグのガンジーであり、キング牧師だったのが良く分かる佳作です。時代色が丹念に再現されて物語に厚みが加わり、ブルックリン・ドジャーズ社長を演ずるハリソン・フォードも好演でした。

 

 ということで今回のイチオシは『ムード・インディゴ うたかたの日々』。

“大切なことは二つだけ。どんな流儀であれ、きれいな女の子相手の恋愛。そしてニューオーリンズの音楽、つまりデューク・エリントンの音楽。ほかのものは消えていい。なぜなら醜いから”(訳:野崎歓)という「まえがき」で始まる、ボリス・ヴィアンの傑作小説『うたかたの日々』(L'Écume des jours)が原作です。

 ゴンドリー監督は、時には『グリーン・ホーネット』なんて駄作も撮っちゃいますが、本作は実に素晴らしい。『エターナル・サンシャイン』『僕らのミライへ逆回転』が持っていた豊かで奔放なイマジネーション、そして何かに恋するときめきと切なさが、此処では見事に映像化されています。ヒロインのオドレイ・トトゥも『アメリ』に匹敵する魅力。勿論、エリントンの音楽も素晴らしい。個人的には、本年偏愛度一位に挙げたい宝石のような秀作です。

 『ムード・インディゴ』国内上映はインターナショナル版(95分)が基本ですが、観客からの熱烈な要望に応えて急遽ディレクターズカット版(131分)上映が決定し、渋谷シネマライズに足を運びました。想像力とファンタジーと奇想と切なさとユーモアとシュールリアリズムの幸福なカクテルを再度堪能し、幸福な気分に浸りました。

 ボリス・ヴィアン、デューク・エリントンのファンの人は必見です。『エターナル・サンシャイン』が好きだった人も是非。何年かしたら『エターナル・サンシャイン』との二本立てで観たいですネ。

(稲葉芳明)