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2013年12月18日 (水)

名画を思い出すとき

テレビを見ていると、番組の合間にその時々の季節にふさわしい画面が現れるときがある。春なら満開の桜花だったり、真夏には太陽の光を受けて輝く青い海だったりする。見慣れた風景のようでありながら、その美しさは季節の恵みのようで、しばし心を奪われて見とれるのである。

 それらの映像はまた、かつて観た映画の名場面を思い出させてくれるときがある。たとえば真夏の外国の海が映ると、私の中で「太陽がいっぱい」の音楽が流れだす。そして野心に燃える冷徹な青年トムを演じたアラン・ドロンが浮かんでくる。友人を殺し、その友人になりすまそうと、繰り返しサインの練習をする場面を、私は息を詰めて観ていたのだった。トムの完全犯罪は成功するのだろうかと、どきどきしながら。くわえ煙草は男を、さらに男っぽく見せるものなのだと感心しながら。こんな青年なら悪い男とわかっていても夢中になってみたいと思いながら。

地中海に照りつける強烈な太陽。きらめく太陽と青い海が、トムの哀しみと対比してきれいだった。

そして広大なひまわり畑が映ると、その畑の中からソフィア・ローレンが現れるような気がする。イタリア映画「ひまわり」の一場面だ。

戦場から戻らない夫を探してソ連にやってきたジョバンナ(ローレン)が立ち寄ったひまわり畑は、スペインのアンダルシァ地方で撮影されたものらしい。ロケ地はともかく、大輪のひまわりが咲く広大な畑の明るいこと。その中を地味な装いのジョバンナが歩く。やがて彼女は、夫には新しい妻がいることを知る。

私が最も感動したのは、夫と出会う場面だ。仕事を終えて帰って来る夫を駅で待つ。だが夫を見た瞬間、その電車に飛び乗ってしまう。

通路に座り込んでさめざめと泣くジョバンナ。意志の強い、ちょっとやそっとではへこたれないような役柄だからこそ、驚いた。あんな女の人でも泣くのだと。そのころの私は若かったから、恋に傷ついても泣くものかと心に決めていた。だけど、ジョバンナの涙を見た時、泣いてもいいのだと思った。

その後、夫がソ連から訪ねて来ても、ジョバンナは心を動かすことはなかった。だからこそ、電車の中で座り込んで涙を流した彼女が忘れられない。

輝く青い海も、ひまわりも、若いころの私を魅了した映画を思い出させる。幸か不幸か、私はトムのような男とめぐりあわなかったし、ジョバンナのような哀しみも経験することはなかった。だが私はあのころ、映画の中で束の間の他人の人生を味わっていたのだ。

中島美千代

コメント

happy01ボートの上のアランドロン。
ボートの上の加山雄三。。。
この辺の時代はボートブームだったんですかね?

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