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2014年4月30日 (水)

新・身も心も 83 『アナと雪の女王』(Frozen, 2013)

筆者は、40年以上に及ぶ筋金入りのディズニー・ファンです。
『白雪姫』(1937)『ファンタジア』(1940)『シンデレラ』(1950)等の古典的名作は、リバイバル上映で。1970年代~80年代の低迷期の後、『リトル・マーメイド』(1989)を嚆矢とする輝かしい「ディズニー・ルネサンス Disney Renaissance, 1989~1999」の珠玉の名作群――『美女と野獣』(1991)、『アラジン』(1992)、『ライオン・キング』(1994)、『ポカホンタス』(1995)、『ターザン』(1999)――は、封切り時に映画館で観てきました。
万人が認める長編アニメショーン映画の牙城として世界に君臨してきたディズニーですが、『トイ・ストーリー』(1995)以降CGアニメの新しい潮流が世界を覆ってからは、再度低迷期に入ります。ピクサーやドリームワークスといった新興企業の勢いに、老舗としての存在感が薄くなった感がありました。
10年余り不振が続いたディズニー・スタジオが、三度不死鳥のように蘇る兆しが最初に認められたのは、『プリンセスと魔法のキス』(2009)です。これ以降は『塔の上のラプンツェル』(2010)、『シュガー・ラッシュ』(2012)とヒット作を連打し、最新作『アナと雪の女王』(2013)はあの『ライオン・キング』をも抜きさるディズニー史上最大のヒット作となり、全世界興行収入は早くも11億ドルを突破しました。
筆者は封切り直後に観ましたが、いや~もう感動の嵐でした。この時は2D字幕だったので、どうしても3D字幕版で体験したくなり、花のお江戸は日本橋まで足を運びました。この3月にオープンしたばかりのTOHOシネマズ日本橋は、とてもシネコンとは思えない豪華贅沢な作りで、【3D・字幕・TCX(東宝独自規格のラージスクリーン)・ドルビーアトモス(天井にもスピーカーを設置した世界最先端ドルビー音響)】という現在日本で考えられうる最高の上映環境で再度堪能した次第です。
では、世界中の人々をこんなにも夢中にする『アナと雪の女王』の魅力とは一体何でしょうか?
まずはCGアニメーションによる雪や氷の卓越した描写・造形力が挙げられます。玩具や車といった物体、あるいは魚やモンスターといった生物が主人公ではなく、人間とその自然環境というパースペクティヴで映像世界を創るには、大変な手間と時間を要します。でも、全篇完璧な映像に仕上がっていて、エルサが魔法で巨大な氷の城を築く場面は圧巻の一語に尽きますし、大詰め、猛吹雪の中クリストフがアナ救出に向かう緊迫感も素晴らしかったですね。
次に、ミュージカルとしての魅力。冒頭、アナがエルサに呼びかける愛らしいナンバー“Do You Want to Build a Snowman?”、エルサとアナのデュエット“For the First Time in Forever”、ハナとハンスがラブコメ的楽しさ一杯に唄う“Love Is an Open Door”、古き良きハリウッド・ミュージカルを彷彿させるボードヴィル調ナンバー“In Summer”等々名曲のオンパレード。近年ブロードウェイで大ヒット作を連発しているロバート・ロペスが、奥さんのクリステン・アンダーソンと組んで書いた楽曲は外れ無し。勿論、最大の聞きものは“Let It Go”ですが、このアカデミー賞主題歌賞受賞の大名曲については、もはや多くを語る必要はないでしょう。
そして忘れてならないのは、本作の主題である「愛」。白雪姫と白馬の王子様(Prince Charming)に始まって美女と野獣(Beauty and the Beast)に至るまで、これまでディズニーが描いてきた「愛」は殆ど全てが「恋=男女の愛」でした。しかし、この映画では違います。映画のクライマックス、観客は誰しもアナとクリストフのキスを期待します。されど、アナはクリストフとの愛よりも姉エルサを救うべく自らの身を投げ打ち、この献身的行為 (an act of true love) こそが結果的に物語を大団円へと導くのです。図式的で分かり易い「男と女の愛」「善と悪の対立」ではなく、「姉妹の愛」「自己と他者」を物語の核とし、現代社会の大きな問題点である「孤立と排他」にまで踏み込んでいるのは、う~むディズニー恐るべし!加えて、万人受けするキャラクター=オラフもちゃんと登場させるなど、嫌になるくらい隙の無い作劇術ですね。
と、ここで筆者はある作品を連想しました――それは、ブロードウェイ・ミュージカル『ウィキッド』です。「オズの魔法使い」前日譚であるこの作品は、皆から疎まれる魔女エルファバと誰からも好かれる魔女グリンダの、二人の「愛」が主題でした(実は、エルファバ役でトニー賞ミュージカル主演女優賞を受賞したイディナ・メンゼルが、本作でエルサ役を演じています)。女性たちの友情と自立と別離を感動的に描いたこのミュージカルは、全く別の道を歩む二人の、立ち場の違いを超えて最後まで相手を信じる気持ち――友情を凌駕した「愛」――が、胸を締め付けるような強烈な共感と感動を与えてくれました。だからこそ、筆者にはエルサとアナの二人が、エルファバとグリンダの関係に重なって見えたのです。

ちなみに蛇足を一言。
2007年に劇団四季が初演した『ウィキッド』を観て大大感激した筆者は、四季の舞台に通うだけでは飽き足らず、病高じて遂には2008年12月にNew York Broadway Gershwin Theaterまで「遠征」しました。その際大枚$350はたいて、中央ブロック前から2列目というプラチナシートで観劇したのも、懐かしい思い出です。

稲葉芳明

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